「あんじょうしといて」とは「うまいことやっておいて」という意味の大阪弁。
最近、特に若年層で使う人はほとんどいませんが、どことなく大阪弁独特の丸い響きが感じられて、私はなんだか温かみを感じることばです。
この記事では、大阪弁「あんじょう」について解説します。
大阪弁「あんじょう」の意味
大阪弁「あんじょう」とは、「うまく」「ていねいに」「「ほどよく」「体裁よく」といった意味の副詞です。
副詞なので、あとには「する」や「動く」などの動詞が続きます。
大阪弁「あんじょう」の語源
「あんじょう」の語源は「味よく」です。
「あじよく」という音が「あじよう」になり、「あじよう」がさらに変化したのが「あんじょう」です。
江戸中期頃までの文学作品には「味よく」という記載が見られますが、江戸後期の文化・文政時代辺りには、「あじよう」という言い方が広まっていたようです。
大阪弁「あんじょう」の類義語
「あんじょう」と同様の意味で使われる大阪弁が「塩梅よう(あんばいよう)」です。
「塩梅(あんばい)」とは、ものごとの加減を表す意味で、こちらは全国的に用いられています。
「塩梅よう」とは、この「塩梅」に、「良く」が大阪なまりになった「よう」がくっついた言葉です。
私の祖母は、「塩梅よう」の「よう」を取って「あんばい」だけで、「あんばいしいや(=上手にやりなさいよ)」と言っていました。
むしろ「塩梅よう」は、あまり聞いたことないような…
同様の意味では「あんじょう」の他に、「うまいこと」はたまに使っていました。
大阪弁「あんじょう」を使う地域
「あんじょう」を使うのは大阪だけではありません。
近畿圏の他、福井・岡山・香川・徳島といった周辺地域でも使われているようです。
大阪弁「あんじょう」の使用例
未開封の封筒を開けようとして。
A「はさみない?」
B「ないわ」
A「手で破るか」
B「あんじょうやりや」
大阪人的大阪弁「あんじょう」
「あんじょうせなあかんで」
「あんじょうしいや」
幼いころから、何かにつけて心配性な祖母に言われてきた気がします。
祖母に言われてきた言葉のせいか、大阪弁独特のやわらかい響きのせいか、私にとって「あんじょう」は温かい言葉です。
「ちゃんとしなさい」と言われると、注意されている気がして緊張しますが、
「あんじょうしいや」と言われると、もっと気楽に構えられる気がします。
おそらく、「ちゃんと」>「あんじょう」であり、
より緊迫感のあるようなシーンでは、大阪人や関西人といえど「ちゃんと」を使うのではないでしょうか。
「あんじょう」はそんなやわらかく、温かみのある大阪弁です。
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