お稲荷さんといえば、狐を真っ先に思い浮かべる方も多いのでは?
稲荷神社にはたくさんの狐の像があるので、お稲荷さんの神様は狐だと思われている方も多いかもしれませんね。
でも、狐は神様のお使いであって、「神様」ではありません。
しかもこの狐たち、とても素敵な経緯で神様のお使いになったのです。
本日は伏見稲荷神社を始め、稲荷神社にいる狐についてのお話です。
稲荷神社の狐は神様のお使い
伏見稲荷神社はもちろん、稲荷神社にはたくさんの狐の像があります。
そして、冒頭でお伝えした通り、狐は神様のお使い(眷属(けんぞく))。
私たち人間の目には姿が見えない白い(透明な)狐とされ、それゆえ「白狐(びゃっこ)」と呼ばれています。
伏見稲荷神社にいる白狐たちはみんな表情が違ったり、口にくわえているものが違い、それぞれに個性があります。
観光などで訪れた際には、お気に入りの白狐を探してみるのも楽しいですね。
その狐が、神様のお使いとして、あなたのために働いてくれる狐なのかもしれませんよ。
なぜ狐が神様のお使いになったのか
その理由には諸説ある
稲荷の神様が食物の神様(御饌津神(みけつかみ))であるため、「御狐(おきつね)」→「三狐(みきつね)」となり「みけつ」と音が似ているから、という説。
農民が狐を稲作の守護神としていたことが起源だとする説。
様々な説があります。
人の役に立ちたかった狐たち
上記のとおり様々な説がありますが、ここでは東寺に伝わる「稲荷流記」にある素敵なおはなしをご紹介いたします。
昔、キツネの夫婦がおりました。
夫は白く美しい毛並みに、不思議な形のしっぽをしていました。
妻の方は鹿の首に、狐の体というこれまた不思議な姿。
夫婦には五匹の子供がおりましたが、子供たちもまた不思議な姿をしていました。
この狐の一家には人間を超えた不思議な知力があり、この力を使って人間の役に立ちたいといつも願っていました。
でも、この姿では、能力を使って人のために働くことは難しい…どうすることもできず、願いが叶わないもどかしさの中で過ごしていました。
そんなある日、狐たちは稲荷山の神様にお願いしてみることを思いつきます。
稲荷山に着くと、狐一家は早速神様にお願いをしました。
「私たちは、このような獣の身ではありますが、生まれながらに霊智を備えています。
世の中を守り、人の役に立ちたいのですが、獣の姿ではできません。
できることなら、神様のお使いとなって、この願いを果たしたいのです」
これを聞いた稲荷の神様は大変心を動かされました。
「よし。そういうことなら、喜んで、おぬしたちの願いを聞き入れよう」
こうして狐たちは稲荷の神様にお仕えすることとなりました。
そして、今日に至るまで、狐たちは、参拝に来た人たちの願いをかなえるべく、私たちの目に見えないところで働いてくれているのです。
たまに、お稲荷さんは狐の神様だから怖いという人がいますね。
しかし、お稲荷さんの神様は狐ではないですし、上の話からもわかるとおり、彼らはとても親切な存在です。
怖いと思うのは、感謝を忘れた自分の傲慢さにどこかで気づいているせいかもしれませんよ。
いつでも感謝の心を忘れないようにしたいですね。
お稲荷さんにいる狐は元々私たち人間の役に立ちたいと思ってくれた、優しい狐たち。
そんな狐たちにも感謝しながら、伏見稲荷神社に参拝したいですね。
また、伏見稲荷のお祀りされている神様については下記の記事で詳しく紹介しています。