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ルンペンとは|実は大阪弁ではなく日本全国で使われていたドイツ語

今ではほとんど聞かれなくなった言葉「ルンペン」

大阪弁だと思われている方も少なくないようですが、実は違うんです。

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大阪弁?!「ルンペン」の意味とは

「ルンペン」とは、浮浪者。ホームレスのこと。

大阪弁?!「ルンペン」の由来とは

「ルンペン」という言葉の由来は何なのでしょう?

大阪弁?!「ルンペン」とはドイツ語

「ルンペン」とは実は「Lumpen」で、ドイツ語。

「ぼろ」という意味の言葉です。

大阪弁?!「ルンペン」とはマルクスの言葉が由来

このぼろという意味の「ルンペン」という言葉が浮浪者のことを指すようになった由来は、

あの経済学者、カール・マルクスが使用した「ルンペンプロレタリアート」という言葉から。

「ルンペンプロレタリアート」

資本主義社会の最下層に位置する浮浪的な極貧層(広辞苑)

仕事もせず、家もなく、ふらふらしている、極めて貧しい人々のことをマルクスはこう呼んだのです。

資本主義社会を提唱したマルクスにとって、何の生産性もないこの層は非常に困ったどうしようもない人々。

あまりよい意味で使うことはなかったと思われます。

大阪弁?!「ルンペン」の広まりは新聞小説から

そんな「ルンペンプロレタリアート」という言葉が日本に入ってきて、「ルンペン」という言葉が広がったきっかけは新聞小説。

大阪朝日新聞の夕刊で昭和5年より連載された下村千秋の「街のルンペン」という小説です。

この連載小説が人気を博し、翌、昭和6年には映画にもなりました。

この「街のルンペン」という作品によって、日本全国に「ルンペン」という言葉は定着したようです。

大阪弁?!「ルンペン」を広めた「街のルンペン」とは?

では「街のルンペン」ってどんな話なのでしょう?

原作は「天国の記録」という話といっしょに、昭和8年に新潮社より発行されたようですが、現在では絶版。

原作そのものを読むことができず、資料も乏しいため、推測するしかありません。

以下では、「街のルンペン」について、少しでも内容がわかりそうな資料をあげてみます。

映画化した松竹の宣伝文句

「池田義信監督の作品で、新派の古典やメロドラマの女主人公から少しでも脱皮して真実に近い人間を描こうと、

栗島すみ子が月田一郎を相手に主演した」(松竹HPより)

この作品が流行した昭和初期は、日本は震災恐慌から世界大恐慌による大不況にあえいでいた時代。

街には浮浪者があふれていたそうです。

そんな浮浪者のどん底の生活をリアルに描写したことがうかがわれます。

映画「街のルンペン」の主題歌

この映画には同じタイトルの主題歌がありました。

作詞はサトウハチロー、作曲は島田晴誉、馬場晴子が歌い手です。

「街のルンペン」

(1番)

眠る宿なく 土の上  草を枕に 夢を見る  ほそき命の こおろぎか  さびしき虫の 子守唄

(2番)

食べるものなく あてどなく  探し求める 日影街  人に情の あったのは  遠い昔の ものがたり

(3番)

よるべなき身の 哀しさに  何処をあての さすらいか  生きているとは 名ばかりの  わたしゃルンペン 根無し草

ルンペンである女主人公が、頼る人もなく、つらい孤独な人生を一生懸命生きるお話なんだろうと想像されますね。

そのリアルさが、貧しさに耐え忍ぶ人々の共感を得たのでしょう。

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大阪弁?!「ルンペン」とは死語

昭和初期に「街のルンペン」によって日本全国に広まった「ルンペン」という言葉は、今ではほとんど聞かれなくなりました。

大阪弁?!「ルンペン」は今では差別用語とされている

実は「ルンペン」という言葉は今では差別用語とされ、特にメディアでは放送禁止用語となりました。

いつ差別用語に指定されたのかは不明ですが、1980年前後を境に、あまり聞かなくなったと認識されている方が多いようです。

現在では、「ルンペン」とは言わずに「ホームレス」ということが一般的ですね。

厳密に言うと、「ルンペン」とは、定住しない浮浪者、「ホームレス」は路上生活者と、少々違うようですが、

家を持たない人ということで、ほぼ同義とされているように思います。

 

以上をまとめますと、「ルンペン」とは「浮浪者」の意味。

大阪弁ではなく、今では死語化した、全国的に使われていた言葉。

ということでした。

 

個人的には「街のルンペン」が気になるところ。

同時収録で、同じく「ルンペン小説」の「天国の記録」はネットで見つけたので読みましたが、なかなか凄惨なお話でした。

これから推測するに間違ってもハッピーエンドではないんだろうなぁ…

ご興味あられる方は「天国の記録」をぜひ探して読んでみてください。

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