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大阪弁「ええしのこ」の意味|「ええし」の「し」とは何のこと?

私の好きな大阪弁の一つが「ええし」。

お金持ちの意味なのですが、「お金持ち」というより、嫌みのない響きでいい言葉だなぁと思います。

「ええし」は大阪では割とメジャーな言葉ではありますが、ええしの「し」って何なのかをご存じない人も多いものです。

この記事では、大阪弁「ええしのこ」の意味や使用例、「ええし」が分類される船場言葉と船場についても紹介します。

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大阪弁「ええしのこ」の意味と「ええし」の「し」とは

大阪弁、ええしのこ

「ええしのこ」の「ええし」とは、良家のお金持ち、資産家という意味の船場言葉です。

「ええしのこ」とは、そんな「ええし」の子どものことなので、良家の子、お金持ちの家の子どもといった意味になります。

大阪弁、ええしのこ

「ええし」とは「ええしゅ」と言うこともあり、漢字で書くと「好衆」です。

元々「よい衆」と言っていたものが、だんだんなまって「ええし」となりました。

大阪弁では、「衆」は接尾語として語尾にくっつくことがあり、他に男衆(おとこし・下男のこと)、女衆(おんなし・下女のこと)、旦那衆(だんなし)などといった言葉があります。

複数形ということではなく、軽い親愛の情がこもっていることを表します。

大阪弁「ええしのこ」の類義語

お金持ちの子どもを指す「ええしのこ」の類義語としては、次のような言葉があります。

大阪弁、ええしのこ

大阪弁「ええしのこ」の類義語①ぼんぼん

お金持ちの息子のことを「ぼんぼん」とか「ぼん」と言います。

本人に対して呼びかけるのに使う言葉で、目下の人が使った場合は敬称になり、目上の人が使うと愛称になります。

兄弟が多い場合は、「兄(あに)ぼん」・「中(なか)ぼん」・「小(こ)ぼん」と呼びます。

また、「ぼんち」というのもお金持ちの息子のことですが、こちらは本人に呼びかけるのではなく、その人のいないところで呼ぶときに使う言葉です。

大阪弁「ええしのこ」の類義語②いとさん

お金持ちの娘のことについても、独特の呼び方があり、「いとさん(いとはん)」といいます。

娘が何人かいる場合は、「姉いとさん」・「中いとさん」・「小いとさん」と呼び分けます。

末娘に当たる「小いとさん」は「こいさん」と略されることもあります。

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大阪弁「ええしのこ」の反対語

「ええしのこ」すなわち、お金持ちの子の反対である、貧乏な家の子を指すような大阪弁はありませんが、「ええし」の反対に当たる、貧乏人や甲斐性なしにあたる言葉や、ケチな人を指す言葉はあります。

大阪弁、ええしのこ

大阪弁「ええし」の反対語①がしんたれ

大阪弁には「がしんたれ」という言葉があり、「餓死んたれ」と書きます。

飢え死にするより仕方ないほど、無能でどうしようもない甲斐性なしだという意味です。

「がしんたれ」は、人のことを指すこともありますが、固くなってしまい食べるところのない梅干しや、野菜などで、本来なら食べられるはずなのに、傷むなどして食べられない部分のこを指していうこともあります。

大阪弁「ええし」の反対語②貧乏たれ

「貧乏たれ」というのはそのまま、貧乏人ということです。

大阪弁では、誰かのことを悪くいうときは「たれ」を付けます。

「あかんたれ」なども代表的な言葉ですね。「あかんたれ」については、下記のページにて紹介していますので、ご興味ある人はぜひご覧ください。

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大阪弁「ええし」の反対語③しぶちん

ケチな人のことを、大阪弁では「しぶちん」といいます。お金持ちでもしぶちんはいますけどね。

貧乏ゆえしぶちんにならざるを得ないことを想定して、紹介してみました。

大阪弁「ええしのこ」の使用例

大阪弁、ええしのこ

A「あそこのぼんち、まだ学生やのに外車乗り回してやんで」

B「やっぱりええしのこはちゃうなぁ。親が医者やもんなぁ」

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大阪弁「ええしのこ」船場言葉と船場

「ええし」というのは、大阪でも商売の中心地であった船場地域の言葉です。

大阪弁と言えば、船場言葉のことを指していた時期もあったようですが、急速に廃ってしまったこともあり、今ではほとんどの言葉は聞かれなくなってしまいました。

商人の街・大阪船場と船場言葉

船場地域とは、今の大阪市中央区。この地域で商売をして栄えていた船場商人たちの使った船場言葉は、品のよい大阪弁として知られてきました。

船場地域とはどこか

大阪弁、ええしのこ、船場

船場とは、現在の大阪市中央区の北西部を中心とした地域のことで、大阪商人たちの街でした。

大阪市の地図を見ると、中央区は碁盤の目状に整備されているのがおわかりいただけるかと思いますが、この碁盤の目状になっているあたりが船場に当たります。

北は中之島、東は上町、南は島之内、西は下船場に接します。

このあたりを歩くと、今でも文明開化の頃に建てられたであろう建物や、江戸時代の建物など歴史的建造物がいくつか残っていて見応えがあります。

昔から大阪の商売の中心地でしたが、現在でも大きな企業から中小企業まで、たくさんの会社が集まる土地であり、大阪の商売の中心地であることに変わりありません。

商業施設がほとんどなく、オフィス街であるせいか、比較的静かな地域と言えるでしょう。特に土日や祝日など企業がお休みの日は大変静かで、ゴーストタウンかと思うほどです。

大阪に観光にいらっしゃるなら、グリコの看板とか通天閣とかもいいけど、こういうところをご覧になるのも、大阪という街が知れて、面白いのではないでしょうか。

船場言葉とは

そんな船場で栄えた商売人たちが使っていたのが船場言葉です。

船場言葉は上品できれいな大阪弁とされ、これが本当の大阪弁だとされてきました。

商人らしく、金銭感覚が反映された言葉があったり、客に向かって使う言葉だけあり、聞こえが柔らかく、丁寧表現や相手を敬う表現が多かったりするような言葉です。

現在では、きっと多くの人は、大阪弁といえば、芸人さんが使っているイメージが強く、「品」とは程遠いイメージをお持ちかもしれませんが、

元々は他人に不快感を感じさせないことを念頭に置かれ、下品になることを避けた言葉こそ船場言葉であり、大阪弁だったのです。

しかし、明治や大正時代になって、商売で大成功した船場商人たちは、線路の開通などによって、阪神地域が拓けるに従い、船場から離れて、芦屋や西宮、宝塚などに住居をかまえ始め、通勤するスタイルに変わり始めます。

こうして、少しずつ商人たちが船場から離れ始めるのですが、さらに昭和時代に入ると、戦争などによって、船場から離れる人が増え、商人たちがいなくなるのとともに、船場言葉も廃ってしまいました。

船場商人のあいさつ=「もうかりまっか」はうそ

大阪の商売人のあいさつは「もうかりまっか」「ぼちぼちでんなぁ」だと思っている人も、もしかしたらいるかもしれませんが、これはうそです。

こんなあいさつをしている現場に遭遇したことがある大阪人はいないのではないでしょうか。

「辞典にない大阪弁」(著:旭堂南陵氏)によると、船場商人同士の隣近所同士のあいさつだったとすれば、「もうかりまっか」ではなく、「もうけてはりますか」とか「もうかってはりまっか」が適当だそう。

「もうかりまっか」だとあまりにもぶしつけな言い方で、ていねいな言葉遣いをする船場商人ならこんな言い方はしないというのです。

それならなぜ、「もうかりまっか」「ぼちぼちでんな」が広まったのか。

真相は不明ですが、前述の旭堂氏は漫才師あたりが使っていたのではないかと述べられています。

「ええし」の船場商人たちは月末行事で金運アップ?!

商売人は結構、ゲン担ぎをしたり、神様を祭ったりするもの。

船場商人たちには、焼きみそをして、貧乏神を追い出すという月末行事がありました。

貧乏神は焼きみそがお好きだとかで、焼きみそを作れば焼きみそに寄って来る。

なので、焼きみそを半分に割り、台所から旦那の居間、さらには女中部屋まで家中に持って周り、しっかり貧乏神を焼きみそに引き付けます。

最後にもう一度、半分に割ったみそをくっつけて貧乏神を閉じ込め、川に持って行って流すのです。

月に一度、きっちり浄化していたわけですね。なかなか面白い風習です。

 

また、元々大阪商人の言葉だったものに「ずぼら」があります。「ずぼら」については、下記の記事で解説していますので、こちらもぜひご覧ください。

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★執筆後記★

私が「ええし」という言葉が好きなのは、祖母がよく使う言葉だからということもあります。

私「こないだコース料理食べてな」

祖母「コース料理!あんた、ええしやなぁ」

周りの友達や知り合いが使わない言葉であり、祖母からしか聞かない大阪弁ということもあって、「おばあちゃん語」として勝手に分類しているせいかもしれません。

また、最近聞かなくなりましたが、祖母や母の大阪なまりも何だか好きです。

大阪なまりについてはこちらもご参照ください。

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