大阪では「ぎっちょ」には二通りの意味があります。
どちらの意味でも最近あまり耳にすることがなくなってきたような気もしますが、例文付きで解説してみたいと思います。
大阪弁「ぎっちょ」の意味
大阪弁「ぎっちょ」の意味①左利き
「ぎっちょ」とは左利きのことを言いますが、その語源には二つの説があります。
左毬杖(ひだりぎっちょう)説
元々は、左毬杖(ひだりぎっちょう)からきているという説が有力のようです。
毬杖(ぎっちょう)とは、子供の正月遊びに毬(まり)を打つための槌。
それを左利きの人は左手に持つので「左ぎっちょう」と言うようになり、
そのうち「左」と最後の「う」が落ちて、左利きの人のことを「ぎっちょ」と呼ぶようになったとされます。
左器用説
元々は左利きの人のことを「左器用」と呼んでいました。
しかし、そのうち「左」が落ち、「不器用」を「ぶきっちょ」というように、
「きよう」が「きっちょ」、「ぎっちょ」のように変化していったのではないかともいわれています。
「ぎっちょ」は大阪以外の地域でも使われる
左利きの意味で「ぎっちょ」というのは、大阪だけではありません。
関東地方や甲州地域、九州地方でもわりと広くこの意味で使われてきたようです。
大阪弁「ぎっちょ」の意味②えんがちょ
大阪ではもう一つ「ぎっちょ」の意味があります。
それは標準語でいうところの「えんがちょ」。
主に幼い子供の間で使われ、汚いものを触ってしまった人について言います。
大阪弁「ぎっちょ」の使用例
大阪弁「ぎっちょ」の使用例①左利きの意
並んで昼食を食べた同僚が左利きだと気付いたときに一言。
「あれ。きみ、ぎっちょかいな」
大阪弁「ぎっちょ」の使用例②えんがちょの意
帰り道、彼はたて笛に夢中だった。
曲もクライマックスに差し掛かり、彼の情熱も最高潮に達したその刹那。
彼は犬の糞を踏んだ。
それを彼の友人たちは見逃さない。
「うわっ!きたなぁ!」
「ぎっちょや!ぎっちょ~!」
「ぎっちょバリアかーぶった」
不覚にもぎっちょとなった彼は、この後、タッチすることでぎっちょをうつすべく、たて笛片手に友人たちを追いかけまわすのであった。
大阪人的考察
大阪では「ぎっちょ」というと、上記のとおり、二通りの意味があります。
大阪人に「あの人、ぎっちょやねんで」と言われたら、どっちの意味なのか困惑しそうだ…
念のためその人の靴の裏に、犬のアイツがついていないか注意すべきなのではないかと思われるかもしれませんが、
大人が「ぎっちょ」というときは、まず「左利き」の意なのでご安心ください。