寒い冬が終わり、緑の草の中につくしの茶色い頭を見つけると、春の訪れを実感し、なんだかさらに心が躍るという人もきっと少なくないのではないでしょうか。
幼いころから、春休みに祖母とつくし摘みをするのが楽しみだった私には、つくしというと何だか懐かしく、日常に埋もれがちな小さな高揚感を思い出させてくれる植物です。
そういえばつくしって一体どういう植物なのか?
ほとんど知らずに来たことに気づき、今回ちょっと調べて学んでみることにしました。
つくしって一体どういう植物なのかを知ることで、新たな視点から春の芽吹きの発見を楽しめるかもしれません。
つくしはスギナの子
「つくし誰の子スギナの子」と童謡にあるとおり、つくしはスギナの子です。
子といっても、スギナの種子から生まれた独立した個体というわけではありません。
つくしは、スギナの地下茎から生えています。
スギナとつくしは同じ植物で、その違いは部位の呼び名の違いともいえるのです。
つくしとスギナの違いは役割
つくしとスギナは役割が違います。
スギナが「栄養茎」といって、その葉で光合成を行い、生きていくのに対し、
つくしは「胞子茎」といって、繁殖のために胞子を飛ばすために、一時的に表れる部位なのです。
つくしが成長すると、最初は硬かった頭の部分が、どんどん柔らかくなって開いていき、胞子を飛ばします。
胞子を飛ばし終わると枯れてしまうので、つくしは春先にしか見られないのです。
つくしとスギナの1年
それぞれに役割が違う、つくしとスギナでは、1年のサイクルも違います。
つくしとスギナのサイクルは以下のような感じです。
スギナが枯れ始めたころにつくしが成長し、つくしが役目を終えて枯れると、今度はスギナが成長し、全盛期を迎えるというサイクルです。
うまくエネルギーを分けて生きているのですね。
つくしとスギナの花言葉
花言葉は、普通は花についてあるものですが、つくしとスギナにはなぜか花言葉があります。
つくしとスギナの花言葉は「向上心」「意外」「驚き」です。
つくしとスギナの花言葉の由来
つくしの花言葉が「向上心」である由来は、つくしが地中から空に向かって伸びていく様子に由来するようです。
また、つくしの成長するスピードはとても速く、一日で1cm以上も伸びることもあるそうで、それが「意外」や「驚き」といった言葉にもなったのでしょう。
昨日までなかったのに、気づくとあった!みたいな感じでしょうか。
ちなみにつくしの漢字については下記の記事で紹介しています。雑学を増やしたい方はぜひご参照ください。
春になると地面から現れるつくし。 その姿を見つけると、春の訪れを実感してうれしくなりますね。 しかし、そのつくしの漢字ってどうだっけ…?ふと疑問に思って検索した方! つくしは「土筆」ですが「筆頭菜」とも書くんです。 […]
つくしもスギナも食べられる
つくしもスギナも食べることができます。
つくしは最近では食べる機会が減ったかもしれませんが、おばあちゃんの春の味覚としておなじみですね。
食べると解熱や利尿作用があるそうです。
うちのおばあちゃんの味、つくしの卵とじのレシピは下記の記事で紹介していますので、ご参照ください。
小学生の頃、春休みの楽しみは祖母と近所の堤防につくしを摘みに行くこと。 伸びた雑草の緑の中に茶色いつくしの頭を見つけることは、まるで宝さがし。 摘んだつくしで祖母が作ってくれた卵とじは本当に美味しく、つくしを見るといまだに心が躍[…]
また、実はスギナも食べることができるのです。
刈り取ったスギナを天日干しすれば、モンケイという生薬になります。モンケイを煎じたエキスには利尿作用があり、腎臓炎や膀胱炎、回虫駆除などに効果があるとされています。
さらに、外用薬として用いられることもあり、皮膚疾患や漆かぶれに効果があるそうです。
その地下茎によって、除草に苦労するスギナですが、除草後に有効に活用できるなら、少しは嫌われずに済むでしょうか。
なかなか家庭で生薬にすることは難しいかもしれませんが、除草後も有効活用できるなら、してみたいものです。