春になると地面から現れるつくし。
その姿を見つけると、春の訪れを実感してうれしくなりますね。
しかし、そのつくしの漢字ってどうだっけ…?ふと疑問に思って検索した方!
つくしは「土筆」ですが「筆頭菜」とも書くんです。
由来もさまざまあり、古くから親しまれてきた植物でもあることが伺い知れます。
この記事では「つくし」の漢字と、名前の由来についてご紹介します。
つくしは漢字で「土筆」
つくしは漢字で「土筆」と書きます。
これは、つくしのあの頭の形が筆に似ており、「土」に刺さった「筆」みたいだというところからきているようです。
土筆の漢字|「筆頭菜」と書くこともある
つくしの漢字は、実は「土筆」だけではありません。
「筆頭菜」とも書きます。
こちらは中国語から来ているそうで、由来は「頭」が「筆」に似た「菜」だからだろうと想像がつきますね。
つくしの頭が筆に似ているという感性は日本と同じですが、
日本が土に息づく様子を表したのに対し、中国では、個体そのものの特徴のみについて表しており
着眼点が異なるところが、日本と中国の感性の違いのようで、面白いです。
つくしの名前の由来と漢字
「つくし」の名前の由来については、いくつかの説があります。
つくしの由来1「澪標」
つくしの由来は「澪標(みおつくし)」であるという説があります。
「澪標」とは船が港に入る際に、航路を示す標識で、下の写真のような感じで立っています。
つくしが土から生えているシルエットが、この澪標が海に立っているシルエットと似ていることに由来するのではないかということでしょう。
つくしの由来2「付く子」
つくしはスギナの地下茎から伸びたものです。
胞子茎と呼ばれ、胞子を飛ばして繁殖するために、母体から伸びています。
つまり、つくしはスギナに「付く子」であって、ここからつくしの名前は由来するというのがこの説です。
つくしとスギナのそれぞれの役割などについては、下記の記事で紹介していますので、ご興味持たれた方はぜひご参照ください。
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つくしの由来3「継く子」
こちらは、つくしの茎部分に着目した説です。
つくしの茎にはハカマがあります。
ハカマからハカマまでの部分で一節、次のハカマからハカマまで一節と継いでいっているように見えることから来ているのではないかということです。
つくしの由来4「突く子」
こちらは、土の中から突き出てくるので「突く子」という説です。
この後紹介する古称と同じイメージですし、個人的には「突く子」が由来説が有力なんじゃないのかな、という気がします。
つくしの古称と漢字
つくしは古くから日本人に親しまれている野草で、古くは「源氏物語」に登場します。
源氏物語の中では「つくづくし」という呼ばれ方をしており、こちらの語源となる漢字は「突く突くし」と言われているようです。
「突く突くし」とは「突き伸びる」という意味で、つくしが土の中から頭を出して、天に向かって伸びている様子を指して、こう呼んだのではないかと考えられます。これが転じて「突く子」となっていったのでしょう。
一方で調和しているという意味を表す「つきづきし」から来ているのではないかという説もあります。
これは、たくさんのつくしが草むらに生えている様子が、とてもかわいらしい風景で、仲良く並んでいるように見えることから来ているようです。
源氏物語で登場する「つくし」の記述
源氏物語では、第三部「宇治十帖」の中の第四部「早蕨」の中で、「蕨、つくづくし、をかしき籠に入れて」といった記述が出てきます。
蕨やつくしは、今でも春になると摘んで、口にすることがありますが、平安時代から変わらない日本の習慣なのですね。
ちなみに、うちのおばあちゃんのつくしの卵とじレシピは下記のページにて紹介しておりますので、こちらもよければご参照ください。
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つくしの学名と語源
実は、つくしとは、日本や中国などアジア圏の野草ではありません。
ヨーロッパでも見られる植物なのです。
つくしの学名はスギナの学名と同様で、「Equisetum arvense」です。トクサ属の野草という意味になります。
「Equisetum」とはラテン語の馬(equus)と刺毛(saeta)が語源で、スギナの形状が馬のしっぽに似ていることから来ているようです。
春の訪れを感じさせるつくし。その由来はさまざまですが、あまり「土筆」の漢字がそのまま当てはまりそうなものはありませんでしたね。
きっと由来の中で紹介した、いずれかの意味で使われていたものが、音だけ伝わり、いざ漢字をあててみようとしたときに考え出されたのが「土筆」なのかな、と個人的には想像しています。
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